遥かなるアスガルド  【聖闘士星矢 黄金の指輪篇】

V.アスガルドの神闘士

1.タイムトライアル

 ヒルダの放棄した代行業務を一時的に引き継いだアテナですが、本職ではないため、その膨大なコスモをもってしても、氷山の融解を食い止められるのは僅かに半日が限界です。
 ヒルダをニーベルンゲン・リングの魔力から解き放つには、まず神闘士の持つ7つのオーディンサファイアを全て集め、そしてバルムングの剣を手に入れなくてはなりません。
 星矢達には、半日の間に神闘士を全て倒してオーディンサファイアを集め、なおかつヒルダを正気に戻して代行業務に復帰させなければならないという非常に厳しい条件が課せられます。十二宮の悪夢、再びです。

 星矢達は待ち構える神闘士と交戦しながら、一路ヒルダのいるワルハラ宮を目指して突き進みます。

2.悲しき闘士達

 北斗七星をそれぞれの守護星とする、現代に蘇った7人の神闘士ですが、彼らはヒルダの単なるパペットではありません。各々が背景に複雑な事情を抱える戦士達です。
 人間に見捨てられ、狼に育てられたため人間不信になった者。郷土の英雄であった父親を殺し、心を閉ざしてしまった者。ヒルダへの忠誠とその妹への愛に思い悩む者。双子星の悲しい宿命に翻弄される兄弟など。
 一方で、中にはヒルダ豹変の理由を知りながら、あえて真実を語らず、逆にそれを利用して地上支配を目論む野心家もいるなど、かなりバラエティ豊かなラインナップです。

 戦いが進むごとに次の敵の顔が明らかになる原作の形式とは違い、神闘士全員が最初に顔見せしているのも本編の特徴です。

3.雪原に消ゆ

 アニメオリジナルのキャラクターながら、神闘士達の戦闘能力は思いのほか高く、地の利も生かしながら優位に戦いを進めます。十二宮での死闘をくぐり抜けた星矢達が血ヘドを吐き、地面に這いつくばるシーンも一度や二度ではありません。
  しかし青銅聖闘士達が互いのピンチに駆けつけて窮地を救い合うなど、チームワークの良さを見せる一方で、神闘士達の連携はバラバラ。相当の実力がありながらも、それぞれが単独での戦いを続けたため、神闘士は一人また一人と倒されて行きます。そして最後まで味方の神闘士が各個撃破されるのを食い止めることが出来ず、やがて勝敗は決しました。

 唯一生き残ったと思われたバドもまた、最後に行き倒れているカットが描かれており、最終的に7人(+1人)の神闘士は全て戦死しました。

4.極北の顛末

アルファ星 ドウベのジークフリート 神闘士を全て倒して7つのオーディンサファイアを集めた星矢は、伝説の「オーディンローブ」を入手することに成功します。そして オーディンローブに付属している「バルムングの剣」を振りかざし、ヒルダを豹変させたニーベルンゲン・リングを破断して、彼女を洗脳から解き放ちました。
 正気に戻ったヒルダは再び代行業務に復帰し、地上は水没の危機を免れました。こうしてアスガルド編は一応の終結を見たのです。

 ところが、ヒルダに指輪をはめて唆した真犯人「海皇ポセイドン」が間髪入れずにアテナを拉致してしまいました。アテナを取り戻すため、いよいよ星矢達は原作通り海底神殿へと乗り込むことになります。